よろずの問題を、よろずの希望に。
よろず相談研究所
【設立のごあいさつ】
社会の発展は、物事を小分けしてより細部へ見ていこうとする「分化」と比例していきます。医学が人体をさまざまな「専門」に分けて診るようになったのと同様、問題を抱えた人たちに接するときも、「この人の仕事に関しては支援します」「この人の経済面を支援します」「私は食事の面倒をみます」……といった個々の要素に対応する傾向になっています。その違和感は、受験勉強はできるけれど生きるための教養や知恵のない人間を排出している教育に対するそれと同じです。本来そうではないのでは? と多くの人が疑問に感じているはずです。
人間をとらえるときに肉体と精神に分けて考えようとしますが、また、その方法が科学的だと考えている人もいますが、それは人間が名称を後付けしたにすぎず、本来の科学は総合的なものであって、その意味で専門性のその先にリベラルアーツという深く掘り下げる教養が求められます。
人間はすべてが連関して存在している生き物です。社会の空気や見えざるはたらきや自身の肉体的精神的変化に深くかかわっている生き物です。その意味で、人は「よろず」の生き物です。「よろず」の生き物である人の「よろず」のことに関わっていくことが、対人関係の本来の在り方です。まるごと人間論的にお互いが、言葉を通して、行動を通して、場を通じて、一人ひとりの個別性に関わっていく以上の根源的アプローチはありません。
その関わり方の原点は、人が人であるがゆえに持っている悲しみを互いに慈しむということだったのではないか? それが原点にある世の中はつくれないものか? 世の中全体が無理としても、随所にその意志を持った人たちが存在することはできないのか?
幸いにして、日本駆け込み寺と再チャレンジ支援機構という偉大な社会団体があります。理念は私たち「よろず相談研究所」と同じ。ならば、それらの団体ができないことを民間としてやってみようじゃないか! 人間のよろずの問題を、よろずの希望に変えていこうじゃないか! そう決心しました。
多くの方々とともに、問題と希望の持ち寄りをしていきたいのです。ぜひ、問題と希望を携えて、「よろず相談研究所」へご参集ください。喫茶去。
よろず相談研究所 | 所長 玄 秀盛 |
月刊『YO-RO-ZU』 | 編集長 前田 洋秋 |